保育士ができる副業5選|公立NG・私立は就業規則次第。ばれない・確定申告まで
手取りを見て、ため息が出た日の話
給料日の夜。口座を見て、家賃と光熱費と奨学金の引き落としが終わった残高を確認して、ちょっと笑ってしまった。
笑うしかなかった、が正しいかもしれない。
「このままだと、来月の美容院代、どうしよう」って思いながら、スマホで「保育士 副業」って検索してしまった日が、私にもある。
保育士の仕事は好きだ。子どもは可愛いし、成長の瞬間に立ち会える仕事なんて、そうそうない。でも、好きなだけでは家賃は払えない。夜勤もある。持ち帰りもある。そのうえで「副業で稼ごう」と思えるのは、正直、体力と時間に余裕がある人だけだと思う。
だからこの記事は、「副業を全力でおすすめする記事」ではない。
むしろ、「やる前に知っておいてほしいこと」を全部並べて、それでもやるなら、こういう選択肢があるよ、という温度で書いている。
まず大前提:公立と私立で、ルールはまったく違う
副業の話を始める前に、一番に確認してほしいことがある。
あなたの勤務先が、公立か、私立か。
ここを曖昧にしたまま「副業OKらしいよ」という情報だけ拾うと、最悪、懲戒処分になる。冗談ではなく、本当に。
公立保育士(公務員)は、原則として副業NG
公立の保育所・こども園で働く保育士は、地方公務員にあたる。ここには「地方公務員法 第38条」という法律が効いてくる。
条文の中身をざっくり言うと、
- 営利を目的とする会社の役員にはなれない
- 自ら営利企業を営んではいけない
- 報酬を得て、他の事業や事務に従事してはいけない
これを、任命権者(多くの場合は市区町村長など)の許可なくやってはいけない、というルールだ。
つまり、「隠れてやってもOKになる余地」は基本ゼロ。許可をもらえる副業もあるにはあるが、現場の感覚として、市区町村の公務員が個人で稼ぐ系の副業許可を取るのは、かなりハードルが高い。
私立保育士は「就業規則次第」
一方、私立の保育園・こども園・企業主導型・小規模認可などで働く場合は、就業規則がすべてと言っていい。
世の中の流れとしては、副業を解禁する法人がじわじわ増えている。ただ、保育業界はまだまだ「原則禁止」が多数派で、「許可制」がちらほら、「完全OK」はかなり少数、という肌感覚だ。
やることは一つ。
就業規則を、自分の目で読む。
「副業」「兼業」「他就業」といった言葉で検索をかければ、該当条項が出てくる。園の職員向けポータルに載っていることもあれば、入職時に渡された冊子の奥のほうに載っていることもある。見つからなければ、事務の方に「就業規則を確認したいんですけど」と普通に聞けばいい。これは労働者の権利なので、見せてもらえないほうがおかしい。
副業OK/グレー/NGの判定基準
就業規則を読んだうえで、「これはOK」「これは相談」「これは完全アウト」を、ざっくり仕分けできるようにしておこう。
OKゾーン(比較的リスクが低い)
- 本業と競合しない、個人で完結する仕事
- 週末や夜に、自分のペースで動かせる仕事
- 顔や名前を出さなくても成立する仕事
- 児童の個人情報やプライバシーに一切触れない仕事
具体例でいうと、在宅ライター、ハンドメイド販売、オンライン家庭教師(年齢層が保育と被らない場合)、資格を使った単発講師など。
グレーゾーン(園と事前に相談したほうがいい)
- 他の保育施設や子ども関連のサービスで働く
- SNSで「保育士アカウント」として発信しながら収益を得る
- 知人の子の一時預かりを継続的に引き受ける
子ども関連で動くと、どうしても本業の立場とかぶる。「保育士です」と名乗って活動するなら、園としても管理したい、と思うのは自然なことだ。これはこっそりやるより、最初に筋を通したほうが結局ラクだったりする。
NGゾーン(ほぼアウト)
- 本業の園の子の家庭で、ベビーシッターとして直接契約する
- 園で得た情報を使って発信・販売する
- 公序良俗に反する仕事
- 本業に支障が出るレベルの長時間労働
「園の子を個人で預かる」は、一見いいことのようで、トラブルが起きたときに園の責任問題に発展しやすい。やりたい気持ちはわかるけど、ここは絶対やめたほうがいい。
保育士に向いている副業5選
前置きが長くなった。ここからが本題。
私が実際に試したもの、周りの保育士仲間が続けられていたものを中心に、5つ紹介する。全部ひととおり見てから、「これなら自分でも続けられそう」というものを一つ選んでほしい。
1. 在宅ライター(記事執筆)
スマホかパソコン一台で始められる、もっともハードルが低い副業のひとつ。
ランサーズやクラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトに登録して、保育・子育て・教育ジャンルの案件を探すところから始める。保育士としての実体験は、そのままコンテンツの信頼性になる。「新米保育士向けの記事を書いてほしい」「先輩保育士に取材記事を書いてほしい」という案件は、実はけっこうある。
収入の目安は、駆け出しで1記事500〜3000円、慣れてくれば時給換算1000〜2000円くらい。
向いているのは、文章を書くのが苦じゃない人、コツコツ一人作業ができる人。逆に、文字入力が苦痛な人がやると、本業の疲れに上乗せされるだけなので、無理しないほうがいい。
2. ベビーシッターアプリ
キッズラインやポピンズシッター、スマートシッターのような、マッチングアプリ型のシッターサービス。
保育士資格があると、登録時の審査が通りやすく、プロフィールに「現役保育士」と書けるので指名も入りやすい。時給は地域と経験で大きく変わるが、1500〜2500円前後が一つの目安になる。
注意点は二つ。
- 本業の園と競合しないか確認する:就業規則でシッター禁止としている園もある
- 保育士登録証のコピー提出や研修受講が必要:手間はあるが、そのぶん信頼性は担保される
あと地味に重要なのが、休日がつぶれること。土日に依頼が集中するので、自分の休息や家族との時間を削ってまでやる副業ではない、ということは覚えておいてほしい。
3. ハンドメイド販売(minne・Creema・BASE)
製作物が好きな人向け。保育現場で培った「壁面」「季節の装飾」「手作りおもちゃ」のスキルは、想像以上に商品になる。
実際、minneやCreemaを見ると、
- フェルトのおままごとセット
- 名前入りスタイ
- お誕生日用の飾り(ガーランド・冠)
- 布絵本
といった商品が、保育士・元保育士の作家さんから多数出品されている。
ただしこれは、稼ぐ副業というより、好きを細くお金に変える副業として考えたほうがいい。材料費・梱包資材・送料・手数料を引くと、時給換算では数百円ということも普通にある。
それでも「作るのが好きで、誰かに喜んでもらえたら嬉しい」という人には、精神衛生的にもとてもいい副業だ。
4. オンライン家庭教師・オンライン講師
保育士資格+αのスキルがあると、意外と需要がある分野。
- 小学生向けの国語・英語の家庭教師
- ピアノのオンラインレッスン(中級以上)
- 子ども向けのお絵かき教室、リトミック
- 保育士試験対策の講師
プラットフォームは、マナリンク、カフェトークなどが代表的。単発案件ならココナラでも出品できる。
時給の目安は、2000〜5000円とかなり幅がある。教える内容と実績次第。
「指導経験がないと無理」と思うかもしれないが、保育士として毎日数十人の子どもと関わってきた時点で、十分に指導経験はある。そこをうまくプロフィールに言語化できるかが、勝負の分かれ目になる。
5. 資格を活かした単発講師・アドバイザー
地域の子育て支援センターや、ママ向けサークル、児童館などで、ときどき単発の講師募集がある。
- ベビーマッサージ講師
- リトミック講師
- 読み聞かせボランティア(有償のものも)
- 子育て相談アドバイザー
単価はピンキリだが、1回3000〜10000円前後。副業というより「社会貢献をしながら少しお小遣いをもらう」感覚に近い。ただ、本業とは別の場所で「保育士としての自分」を使う機会があると、本業の見方もちょっと変わる。これは、やってみた人にしかわからない効用だ。
確定申告:20万円ルールの正しい理解
副業を始めると、かならずぶつかるのが税金の話。
ここ、誤解している人がすごく多いので、正確に書いておく。
よく言われる「20万円ルール」の中身
- 本業で会社員(保育士も含む)として給与を受けている
- その給与以外の副業の所得が、1年で20万円以下
この条件を両方満たす場合にかぎり、所得税の確定申告が不要になる。
ここで注意してほしいのが、
- 「収入」ではなく「所得」(売上から経費を引いた金額)で判断する
- 「所得税の申告が不要」なだけで、「住民税の申告は必要」
という2点。
住民税は、別の話として残っている。20万円以下でも、本来は市区町村に住民税の申告が必要になる。ここはちゃんと書いておきたいところ。
ダブルワーク(掛け持ち)の場合は別ルール
副業が「給与」の場合(アルバイトなど)は、また別の扱いになる。
複数の会社から給与をもらっていて、本業以外の給与収入の合計が20万円を超えるなら、確定申告が必要。この場合、両方の源泉徴収票を使って、年末調整ではなく自分で確定申告することになる。
ベビーシッターアプリや在宅ライターは、基本的には「事業所得」か「雑所得」として扱われる(契約形態による)。アルバイト的な給与ではないので、「経費を引いた所得」で20万円を判定することになる。
不安があれば、一度税務署の無料相談か、税理士に一度だけでも相談するのがおすすめ。数千円〜1万円の出費で、あとあとの安心感がまるで違う。
副業が「ばれる」経路:実はほぼ住民税
「副業ばれたくない問題」、これも多い。
結論から言うと、ばれる経路はほぼ以下の3つに絞られる。
経路1:住民税の特別徴収で園に通知が行く
一番多いルートがこれ。
会社員として働いていると、住民税は給料から天引き(特別徴収)されている。副業で所得が増えると、翌年の住民税が上がる。すると、園の経理に届く住民税額通知書の金額が「給料から計算した金額より明らかに高い」状態になる。
「この先生、給料の割に住民税多くない?」と気づかれて発覚、というパターンだ。
対策は、確定申告のときに住民税の納付方法を「自分で納付(普通徴収)」に選ぶこと。申告書の所定欄にチェックを入れるだけ。これで、副業分の住民税の通知は自宅に届くようになる(ただし、副業が給与所得だと普通徴収にできない自治体もある)。
経路2:社会保険の調整
副業で一定以上稼ぐと、社会保険の扶養や加入区分が変わることがある。ここから園の事務に情報が行くこともある。月額8.8万円以上など、一定条件で社会保険に二重加入が必要になるケースがあって、これは隠しようがない。
経路3:SNS・口コミ
一番アナログで、一番よくあるのがこれ。
- インスタで副業の宣伝をしていたら、保護者に見つかった
- 飲み会で「最近副業してるんだよね〜」とうっかり話した
- ハンドメイドの商品写真に、本業の園で撮った写真の背景が映り込んでいた
これは制度の話ではなく、自分の行動の話。SNSを使うなら、本業と副業のアカウントは絶対に分ける。できれば、本名・顔・勤務地・制服姿は全部出さない。これだけで、リスクはかなり下げられる。
副業より先に、「環境そのもの」を見直す選択肢
ここまで散々副業の話をしておいてなんだけど、ひとつだけ、最後に伝えたいことがある。
副業で月1〜2万円を稼ぐより、本業の月給を2〜3万円上げるほうが、圧倒的にコスパがいい。
月2万円の副業収入をキープするには、毎月10〜20時間くらいの作業時間が必要になる。休日と平日夜が、じわじわと削れていく。
一方、本業を転職で見直して基本給が月2万円上がれば、それは時間を売らずに手に入る2万円だ。しかも、ボーナスにも、退職金にも、年金にも効いてくる。
もちろん、「そんな簡単に転職で給料上がらないでしょ」と言われるのはわかる。でも、実はここ数年、保育業界は処遇改善の流れで園ごとの給与差がかなり広がっている。同じ23区の中でも、月の手取りで3万円以上違うことは普通にある。
それに、「副業したい」と思っている時点で、あなたはもう本業だけでは物足りない、今の環境に違和感がある状態に立っている。
副業で傷口をふさぐのも一つの方法。でも、根本から環境を変えるのも、同じくらい現実的な方法だ。
参考:保育士→異業種という選択肢
もし「保育士の中で転職する」だけじゃなく、「もう保育以外の道も見てみたい」という気持ちがあるなら、一度だけ、第二新卒向けのキャリア相談を受けてみるのもありだと思う。

20代向けで、保育業界から事務職・IT・営業など、まったく違う業界へ転職した実績もあるサービス。話を聞いたうえで「やっぱり保育が好き」と戻ってくる人もいる。選択肢を見てから、保育に戻る。この順番でも全然遅くない。
副業で月2万円を絞り出す夜、もしくは、本業そのものを一度疑ってみる夜。どちらの夜を過ごすかは、自分で選んでいい。
最後に
副業は、やればやっただけ偉い、というものではない。
本当に大切なのは、
- 自分の勤務先のルールを正しく知ること
- 稼ぐことと、時間・健康のバランスを取ること
- 制度(税金・社会保険)をちゃんと理解すること
- ばれる/ばれない論で消耗しないこと
- そして、「そもそも副業しないと足りない環境」自体を疑う余裕をもつこと
月末に口座残高を見て笑ってしまったあの夜、私はとりあえず在宅ライターを試した。続けられたのは、時間の使い方を見直せたから。続けられない人もたくさん見てきた。
どちらが正しい、ではなくて、あなたにとって無理のない選択ができればいい。
副業に手を出す前に、本業の働き方も、給与も、環境も、一度ちゃんと見直す。その当たり前のプロセスを飛ばしてしまう人が多いから、あえて最後にもう一度書いた。
疲れている夜ほど、選択肢を広げておいてほしい。
保育士の副業についてよくある質問
保育士は副業をしてもいいですか?
公立保育士は原則NG、私立は就業規則で個別判断という二段構えの取り扱いになります。
公立保育士は地方公務員法第38条で営利目的の副業が禁じられ、許可なくやれば懲戒対象です。私立は就業規則によりOK・NG・許可制の3パターン。まず自園の就業規則を確認するのが最初のステップです。
保育士に向いている副業は何ですか?
ベビーシッター・在宅ライター・ハンドメイド販売・オンライン講師の4つが定番です。
ベビーシッターは時給1,500〜3,000円で資格を活かせ、在宅ライターは保育記事執筆で月3〜5万円、ハンドメイドは知育玩具やエプロンが人気、オンライン講師は保育学生向けの試験対策など。体力負担の小さい副業が現実的です。
副業がばれる原因と防ぐ方法は?
住民税の特別徴収額の差で発覚するため、住民税を普通徴収に切り替えるのが基本対策です。
副業収入があると住民税が増え、本業の給与から天引きされる金額に差が出て経理にバレます。確定申告時に住民税を「普通徴収」に丸を付けると自分で納付になり、本業の経理に通知が行きません。鉄板の対策です。
副業の確定申告はいくらから必要ですか?
副業所得が年20万円超なら確定申告必須、20万円以下でも住民税申告は別途必要です。
給与所得者は副業所得20万円超で所得税の確定申告義務があります。20万円以下でも住民税の申告は別途必要なので注意。経費(通信費・書籍代・自宅作業の家事按分)を引いた所得ベースで判断する点も重要です。
保育士の副業で気をつけるべきことは?
守秘義務違反・体力消耗・税金漏れ・利益相反の4点に最大の注意を払う必要があります。
勤務園の園児情報をSNSに書いて守秘義務違反、副業疲れで本業ミス、住民税申告漏れで延滞税、競合園での副業で利益相反。どれも実在する事故例です。本業の質を落とさない範囲・規則の中で行うのが大原則です。